以前、「大人におすすめ!きのこ図鑑5選」という記事でさまざまなきのこ図鑑をご紹介しましたが、今回は図書館で出会った一冊の大型図鑑に魅了され、この本だけに焦点を当ててじっくりとレビューしたいと思います。
基本情報

書名:よくわかる きのこ大図鑑
出版社:永岡書店
改訂版発行:2025年8月10日
ページ数:368ページ
サイズ:B5判
掲載種数:約300種(食用・毒きのこ含む)
言語:日本語
2026年版として注目すべき新しさ
この図鑑の最大の特徴は、2025年8月10日に改訂されたばかりという鮮度の高さです。きのこ研究は日々進歩しており、分類や同定方法、毒性に関する情報も更新され続けています。2026年版として手に取れるこの最新改訂版は、最新の研究成果や知見が反映されており、信頼性の高い情報源として安心して活用できます。
独自の構成が光る「発生場所別」の編集方針

多くのきのこ図鑑は色や形状、科属で分類されていますが、本書の最大の特徴は発生する場所別に構成されている点です。目次を見ると一目瞭然です。
目次構成
- キノコの特徴と見分け方
- キノコ用語解説
- 身近な場所に発生するキノコ
- 雑木林・混生林に発生するキノコ
- マツ林に発生するキノコ
- カラマツ林に発生するキノコ
- カンバ林に発生するキノコ
- モミ・ツガ林に発生するきのこ
- キノコのいろいろ
- キノコの毒について
- とくに気をつけたいキノコ
- キノコ狩りの注意
- おすすめキノコ料理
- キノコの保存法
この構成の素晴らしさは、実際のフィールドワークでの使い勝手にあります。森や林に入ったとき、周囲の木々を見れば「ここはカラマツ林だな」「雑木林だな」と判断できます。すると、該当する章を開くだけで、その場所で出会う可能性の高いきのこに絞って検索できるのです。これは初心者から上級者まで、きのこ探しの効率を劇的に向上させる工夫といえるでしょう。
写真の豊富さと質の高さ

B5サイズという大型本ならではの利点が、写真の見やすさです。本書では、かさ、柄、胞子など、きのこを同定するために必要な部位ごとの写真が豊富に掲載されています。
特に評価したいのは、成体の写真が充実している点です。きのこは成長段階によって形状や色が大きく変化するため、図鑑によっては若い個体や成熟した個体のどちらかしか載っていないこともあります。しかし本書では、しっかりと成長した状態の写真が多数収録されており、実際にフィールドで出会うきのこと照らし合わせやすい構成になっています。
大判ページいっぱいに展開される鮮明な写真は、細部まで観察でき、色味や質感、傘の裏側のヒダの様子なども明瞭に確認できます。眺めているだけでも美しく、きのこの多様性や造形美に改めて気づかされます。
見分け方の解説が実践的
写真が豊富なだけではなく、見分け方の説明がしっかりと書かれているのも本書の大きな魅力です。似たきのことの違い、注意すべきポイント、同定の決め手となる特徴などが、わかりやすい言葉で丁寧に解説されています。
巻頭の「キノコの特徴と見分け方」「キノコ用語解説」では、基礎知識を学べるため、初心者でも安心して読み進められます。専門用語も噛み砕いて説明されており、学習用のテキストとしても優れています。
毒きのこ情報の充実度

きのこ狩りで最も重要なのは、毒きのこを誤って採取しないことです。本書はこの点においても非常に優れています。
「キノコの毒について」「とくに気をつけたいキノコ」という章が設けられており、毒性のあるきのこについて詳細に解説されています。中毒を起こさないための注意書きも充実しており、どのような症状が出るのか、どう対処すべきかといった実践的な情報が学べます。
食用きのこと間違えやすい毒きのこについては、比較写真や見分けポイントが明示されており、安全面への配慮が随所に感じられます。これは単なる図鑑を超えて、きのこ狩りの安全ガイドとしての役割も果たしていると言えるでしょう。
実用的な付録が嬉しい
図鑑部分だけでなく、巻末の実用情報も充実しています。
おすすめキノコ料理
採取したきのこをどう料理するか、簡単なレシピが紹介されています。きのこ狩りの楽しみは、採るだけでなく食べることにもあります。この章があることで、フィールドワークから食卓までの一連の流れを一冊で完結できます。
キノコの保存法
大量に採取できた際の保存方法も解説されており、乾燥保存や冷凍保存など、きのこを無駄なく活用するための知恵が詰まっています。
キノコ狩りの注意
マナーや安全面での注意事項がまとめられており、環境保護の観点からも学びがあります。
こんな人におすすめ

この図鑑は、以下のような方に特におすすめです。
初心者の方:基礎知識から丁寧に解説されているため、これからきのこに興味を持ち始めた方でも安心して使えます。大きな写真と分かりやすい説明で、学習がスムーズに進みます。
フィールドワークを楽しむ方:発生場所別の構成により、実際の森や林で非常に使いやすい設計になっています。持ち運びにはやや大きいですが、事前学習や帰宅後の同定作業に最適です。
きのこ料理愛好家:食用きのこの情報が充実しており、レシピも掲載されているため、食の観点からきのこを楽しみたい方にもぴったりです。
眺めて楽しみたい方:約300種もの多様なきのこが美しい写真で紹介されているため、ページをめくるだけでも十分に楽しめます。自然の造形美を堪能できる一冊です。
まとめ:手元に置いておきたい決定版
「よくわかる きのこ大図鑑」は、最新の2026年版として情報の新しさがあり、発生場所別という独自の構成で実用性が高く、豊富な成体写真と丁寧な解説で同定の精度を上げ、毒きのこ情報や安全面の配慮も行き届いた、まさに決定版といえる一冊です。
B5サイズの大型本という物理的な存在感もあり、本棚に並べておくだけでも頼もしい存在です。きのこに関する疑問が湧いたとき、すぐに手に取って調べられる。そんな信頼できるパートナーとして、長く愛用できる図鑑だと感じました。
きのこの世界は奥深く、知れば知るほど新しい発見があります。この図鑑とともに、その魅力的な世界へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。


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