ヨーロッパオオナマズの大きさや生態、人を捕食するかなど

生物

ヨーロッパオオナマズは世界最大級のナマズで、大きいものは3mを超えるといわれています。このナマズは肉食性が強く、陸に乗り上げて鳩を捕食することが観察されており、人を襲ったという逸話もあります。この記事ではヨーロッパオオナマズの生態について説明しています。

ヨーロッパオオナマズの特徴

Dieter Florian (To contact the author, ask the uploader or take a look at tauchshop-florian.de.)CC BY-SA 3.0 DE, via Wikimedia Commons

ヨーロッパオオナマズはナマズ目ナマズ科ナマズ属に分類される淡水魚です。

もともとヨーロッパの中央部、南部、東部の川に生息し、バルト海から黒海カスピ海までに分布していました。ただしスポーツフィッシュとして西ヨーロッパなどにも導入され、現在ではイギリスから東はカザフスタン、中国、南はギリシャ、トルコまで生息しています。

彼らは大きくて温かい湖や深くて流れの遅い川を好み、川底に身を潜めています。ヨーロッパオオナマズの口には多数の小さな歯が並びます。

彼らは細長い体型をしており、ウナギのように後ろ向きに泳ぐこともでき、体は非常にヌルヌルしています。

ヨーロッパオオナマズの大きさ

Joe Pell at FlickrCC BY 2.0, via Wikimedia Commons

ヨーロッパオオナマズのほとんどの成魚の体長は約1.3~1.6mで、1.5mの個体の場合、体重は15~10kg、2.2mの場合は65kgになります。非常に良好な生活環境下でのみ、体長2mを超えることができ、大きいものは全長が3mを超える可能性があります。その場合、最大体重は200キロを超えるため、ヨーロッパと西アジアでは最大の淡水魚となります。

これを越えるのは遡河性のタイセイヨウチョウザメとオオチョウザメだけです。

記録上最長のヨーロッパオオナマズは2023年にイタリアで捕獲された個体で、長さは2.85mでした。

ヨーロッパオオナマズの食性

ヨーロッパオオナマズはほとんどの淡水底生食動物と同様に昆虫、甲殻類、魚を食べて生きています。より大型の個体はカエル、ヘビ、ネズミ、さらには水鳥を捕食し、ほかのナマズを共食いすることさえ観察されています。

ほかの多くのナマズと同様に、ヨーロッパオオナマズは獲物を狩る時は主に聴覚と嗅覚に依存しています。そして、胸びれで水を巻き上げて獲物の方向感覚を失わせ、それを吸い込んで丸呑みします。

ヨーロッパオオナマズは人を食べることはあるか?

このヨーロッパオオナマズの非常に大きな個体はまれに人間を襲うという噂があります。

ヨーロッパオオナマズは、イギリス・ブリストルの野生生物を取り上げたドキュメンタリー番組・釣り番組である「怪物を追え!」の主題となっています。司会者のジェレミー・レイド氏は体重約74キロと約66キロのが、個体がリリース後に彼のふくらはぎに噛みつこうとしたとし、人間に対して攻撃的だった例を記録しています。

彼はこの地域のヨーロッパオオナマズは成人を食べるほど大きくはないが、子どもなら簡単に飲み込む可能性があると結論つけています。

2009年8月5日のオーストリアの新聞では、ハンガリー北西部の猟師がヨーロッパオオナマズをつかもうとした時、ナマズが彼の右足をくわえて水中に引きずり込んだと報じています。彼はかろうじて逃れることができました。

19世紀のドイツの博物学者アルフレート・エトムント・ブレームは著書の中で「ヨーロッパオオナマズは人間を容赦しないし、これは単に物語の領域に属するものでもない」と述べています。

スロバキアではナマズが捕獲され、その胃の中からは子どもの遺体が発見されたことが書かれています。地元の漁師たちは子どもが水浴びをしている時にナマズに食べられたと語っています。

さらに、ルーマニアの漁師が水浴びのためにドナウ川の真ん中に入って行くと、ナマズが彼の足をくわえ、水の底に引きずり込こんだといわれています。数日後、彼は死体で発見されましたが、その足はまだナマズに加えられたままでした。

ヨーロッパオオナマズの味

Pavel ŠevelaCC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

若いヨーロッパオオナマズの肉だけが食用として評価されており、重さが15kg未満の場合は美味しく食べることができます。このサイズより大きいものは脂肪が多く、さらに食物連鎖の最上位に位置する為、生物濃縮によって有毒な汚染物質が蓄積される可能性があります。

外来種としてのヨーロッパオオナマズ

大型の個体は食用には推奨されていないものの、その好戦的な性質からスポーツフィッシュして釣り人から人気があります。

そのため、ヨーロッパオオナマズは釣り人によって生息していない地域に投入されることが多く、そのため生態系への影響が懸念されています。

ヨーロッパオオナマズは西ヨーロッパと南ヨーロッパの少なくとも10カ国に進出しています。導入された河川では、さまざまな場所で在来種の個体数が激減しました。

ヨーロッパオオナマズは成長が早く、寿命が長いうえ、たくさんの卵を産むため容易に繁殖します。さらに、彼らの優れた狩猟技術はこの場所の繁栄において優位性をもたらしています。すべてのナマズと同様、ヨーロッパオオナマズは高度に発達した感覚器官を持ちます。

ハト狩りを覚えたヨーロッパオオナマズ

Cucherousset J, Boulêtreau S, Azémar F, Compin A, Guillaume M, et al. (2012) “Freshwater Killer Whales”: Beaching Behavior of an Alien Fish to Hunt Land Birds. PLoS ONE 7(12): e50840. doi:10.1371/journal.pone.0050840CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

そして、この種は新たな食糧源に適用する驚くべき能力も持っています。彼らは陸上にいるハトを捕らえるなど、本来の生息地では見られない新しい狩猟戦略も採用しているのです。

フランスのトゥールーズ大学の魚類生態学者フレデリック・サントゥールが南フランスの街アルビにある橋の上で、この魚の貪欲な摂食習慣を初めて目撃しました。タルン川の中に浮かぶ小さな島で歩き回っていたハトに突然、1匹のナマズが水中から陸に飛び上がって食いつき、くわえたままに戻っていったのです。

シャチがアザラシを捕まえるために浜に上がることは知られていますが、魚でそのような行動をするのを見たことがないとフレデリック氏は食べています。

この研究で観察、および撮影された捕食行動のうち、28%が成功していました。また、ナマズの胃の内容物からハト以外にも、非常に多様な水鳥を食べていることも分かりました。

この行動は生息域では報告されおらず、おそらく導入された新しい環境に適応して新しい獲物を捕食するように行動を適用させたと考えられています。

日本でもヨーロッパオオナマズが発見される

また、2020年には東京都港区にある有栖川宮記念公園の池で巨大ナマズが見つかりました。当時、正体不明だと話題になり、「ビワコオオナマズでは?」との声もありましたが、DNA鑑定の結果、ヨーロッパオオナマズだと判明しました。

このナマズは京都の水族館に移動させることになりましたが、当日の朝、死んでいるのが確認されました。

ヨーロッパオオナマズは特定外来種に指定されており、飼育するには環境省に申請を出すことが義務付けられています。許可なく飼育していたり、飼っているものを近所の池に逃がしたりすると、個人なら3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金となります。

このようなヨーロッパオオナマズの導入の問題に対し、解決策は依然として乏しいままです。

この記事はYouTubeの動画でも見ることができます。

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