海洋に棲むシャチは陸上という全く異なる場所に生息しているヘラジカを食べることがあります。それでは一体どのようにして彼らはヘラジカを捕食するというのでしょうか?
巨大なヘラジカ
鯨偶蹄目ヘラジカ科ヘラジカ属に分類されるヘラジカは全てのシカの中で最も大きくなります。彼らは頭胴長2.4~3.1m、肩の高さは1.4~2.3mになり、オスの平均体重は500kg、さらに最大で800kgに達する場合もあります。角も大きく、最大で200cmを上回ります。
ヘラジカの個体群は北アメリカ大陸、北ヨーロッパ、ユーラシア大陸の北部に分布し、北米で見つかる哺乳類の中ではバイソンに次ぐ大きさを持つ動物であり、体高ではそのバイソンを上回ります。
このように巨大であるため、ヘラジカの政治を定期的に捕食する動物はアムールトラのみです。ヘラジカの攻撃は強靭な前脚や後ろ脚を使った強力な蹴りの他に、角を使って突進する行為があり、ヒグマの成獣がヘラジカの成獣との戦闘で死亡した例が知られています。
シャチはヘラジカを捕食する
日常的に食べるという証拠は文書化されていませんが、シャチがこの巨大で強靭なヘラジカを時々食べることは確かです。カナダ・バンクーバーの海岸沖では、体中に裂傷やシャチに噛まれた跡のあるヘラジカの違いが数体発見されています。研究者はシャチがヘラジカ狩りに積極的に取り組んでいるとは考えていませんが、シャチの腹から見つかったヘラジカの死骸の数から珍しいことではなく、よくある事だと分かっています。
まずシャチがこの巨大な陸生動物を捕食する方法として水中を漂っているヘラジカの違いを食べるということが考えられます。
しかし、一部の研究者は他にも注目すべき食べ方があるといいます。
ヘラジカは泳ぎが得意
ヘラジカは並外れて長い脚を持っており、前脚は後ろ脚よりも長く、また肩の筋肉が発達しているため、森の中を進む時、大きな障害物を飛び越えることができます。彼らは短距離であれば時速約50kmで走ることができ、時速30kmで安定した速足走行も可能です。
このような独特の身体構造は水中でも信じられないほどの力を発揮し、巨大にもかかわらずヘラジカは非常に速く泳ぐことができ、最高時速は9.6kmに達します。
ヘラジカの中が空洞になっている独特の毛を持ち、この毛は極寒の中で驚くほどの断熱性を発揮しますが、水中で浮力装置として機能し、スムーズに泳ぐことができるのです。
ヘラジカの泳ぎが得意な事はわかりましたが、一体なぜ彼らは水の中に入るのでしょうか?
ヘラジカが泳ぐ理由
ヘラジカは冬に低木や松ぼっくりを食べる他、大きな蹄で雪をかき分けてコケや地衣類などを食べます。そして夏になる氷が溶けると、ヘラジカはよく湖や河、湿地に集まり、水面の水草を食べます。
それだけでなく、ヘラジカは餌を求め、アラスカやカナダの島島を移動するために海を泳ぐ事もあるのです。彼らは数キロ離れた島と島の間を泳ぐ事さえあるといいます。
また、気温が15℃まで上がると寒い地域に生息するヘラジカにとっては酷暑となります。そのため、水中は彼らが涼むのに丁度良い場所となります。近くの自然の水域が見つからない場合は、ヘラジカが民家のプールに入って行く例さえあります。
そして夏も後半になると、陸上で良質の食物がますます少なくなるため、ヘラジカは重要な食料を求めて水中を探さざるを得なくなります。その為、6mもの深さまで潜って水草を食べる事も珍しくありません。
彼らの鼻孔は閉じることが可能で、最大1分間息を止め、水中にとどまることができます。
こうして水中を泳いでいるヘラジカを見つけたシャチが彼らを襲うのです。
水中では圧倒的にシャチが有利
シャチは世界中の海に棲息し、最も広く分布する海洋哺乳類のひとつです。
マイルカ科の中までは最大の種になり、オスの平均体調は5.8~6.7m、体重は3628~5442kgで最大級のオスは体長が9.8m、体重は10トンに達します。このようにシャチはヘラジカよりも遥かに巨大です。
さらにシャチの群れの多くは母親を中心とした血の繋がった家族のみで構成されており、優れた知能とチームワークを武器に獲物を捕らえて行きます。
ヘラジカは陸生動物としては水中で比較的機敏な方ですが、特にシャチの群れを相手にしている場合は無力に等しく、攻撃を避けることはできません。そのため、シャチにとって動きの遅いヘラジカは格好の標的となるのです。
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