巨大魚「オヒョウ」とは?大きさや死亡事故について。気になる味も

生物

オヒョウいう魚をご存知でしょうか?オヒョウは北極海などの冷たい海域に棲む巨大なカレイで死亡事故を起こしたこともある危険な魚です。

分類と分布

オヒョウとは北海道での呼び名で漢字では「巨鮃」と書き、大きなヒラメという意味があります。しかし、実際はカレイ目カレイ科オヒョウ属に分類されるカレイの仲間で、これは昔、ヒラメとカレイは厳密に呼び分けされていなかったためです。

オヒョウには複数の種が存在し、オホーツク海、大西洋、ベーリング海、北極海などの冷たい海に分布し、日本では東北や北海道で見られます。日本近海に生息しているものはタイヘイヨウオヒョウといい、研究者は太平洋と大西洋の2つの主要な種にわけています。

生息域

オヒョウは主にやや沖合の大陸棚に沿った数メートルから数百メートルの深さに生息し、ほとんどの時間を海底近くで過ごしますが、活発に泳ぎ、長い距離を回遊しながら暮らします。

大きさ

タイセイヨウオヒョウは世界最大のカレイ目です。最も大きいものは2013年7月にノルウェーの海域で見つかった個体で、長さ2.62m、体重234kgもありました。

一方のタイヘイヨウオヒョウは2014年7月、アラスカのグレーシャーベイで捕獲された219kgのものが最大です。

ただし大物は皆メスであり、オスは大きくてもメスの1/3程度の大きさにしかなりません。

繁殖とライフサイクル

彼らは冬の間、浅瀬から深海に移動し、産卵のために大量に集まります。そしてメスは卵を水中に放出し、オスは体外で受精させます。1匹のメスはワンシーズンに数百万個の卵を産むことができます。

その後、卵は約2週間かけて孵化し、生まれたての稚魚はしばらくの間、ただ水に浮かんでいるだけです。

オヒョウは生まれた時は左右対称で、他の魚と同じように、頭の両側に1つずつ目があります。その間、稚魚は遠洋で生活をし、6カ月後ぐらいから、片方の目が頭の反対側に移動していきます。こうして海底での生活が始まります。

オヒョウの成長は非常に遅く、性成熟するまでには少なくとも8年はかかります。また、彼らは非常に長生きで150歳を超えるものもあります。

捕食

オヒョウは待ち伏せをして獲物を狩ります。彼らはじっと横たわって、底に溶け込み、獲物が近づくのを待ちます。

稚魚は小さな甲殻類やその他の底生生物を食べ、大人になるとタコやカニ、ヤドカリ、ヤツメウナギ、カジカ、タラ、スケトウダラ、ニシン、ヒラメなどさまざまな魚を食べます。彼らは口に入るものなら、ほとんどすべての魚や動物を食べる食物連鎖の頂点近くにいる捕食者です。

天敵

一方、天敵はアシカ、シャチ、サメ、そしてあなたたち人間です。

オヒョウの漁獲

オヒョウは歴史的にアラスカやカナダの先住民にとって重要な食糧源で、多くの沿岸に住む人々にとって重要な食料であるため、今日まで漁獲され続けてきました。

ただ、オヒョウは巨大で筋肉質の為力が強く、吊り上げた時に暴れると危険で、漁師が怪我をすることもあります。そのためオヒョウが暴れないように棍棒で頭を殴って殺さなければなりません。しかし、脳が小さく、位置が分かりづらい為、殺すのは難しく、死んだと思っても、その後ずっとたってから突然予測不能に暴れ出すこともあります。

オヒョウの伝説

太平洋岸北西部に住んでいたネイティブアメリカンのチムシアン族の間では、カヌーに乗っていた王子と2人の王女を丸ごと食べた怪物オヒョウの物語があります。復讐に燃える2人の男はこの怪物に立ち向かうために海に出ましたが、彼らもまた食べられてしまいます。しかし、彼らは魚の内側から内臓を破壊し、最終的にはこの巨大なオヒョウを倒すというお話です。

オヒョウによる被害

また、1973年8月、アラスカの漁師が実際にオヒョウに殺されたと地元のメディアが報告しています。ジョセフ・T・キャッシュさんはクプレアノフ島の近くで60キロもの個体を釣り、船上に引き上げることに成功しました。しかし、暴れたオヒョウは彼の足を骨折させた上、動脈を切断し、さらに甲板に倒れた彼は肋骨3本にひびが入りました。

瀕死の重傷を負いながらも、彼は船外に落ちないようにオヒョウくくりつけました。

ですが、船が陸地にたどり着いたときには彼は亡くなっていたのです。

オヒョウの味や料理

この危険なオヒョウは日本では刺身として食べられますが大味と言われ、カレイと比べてあまり高く評価されず、比較的安い市場価格で流通しています。そのため、回転寿司ではヒラメの代用の「えんがわ」として提供されることも多くあります。

ただ、オヒョウはビタミンAおよびビタミンBが豊富で、肝臓からは肝油が取れる他、海外では様々な方法で料理されています。特にフィッシュアンドチップスは、イギリスを代表する庶民料理として人気があります。

オヒョウの身はよくしまった白身で脂肪が少なく淡白な味わいのため、濃い目の味で調理されることがよくあります。そのため特に西京味噌とよく合います。ネットでも購入できるので興味のある方は食べてみてはいかがでしょうか。

この記事はYouTubeの動画でも見ることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました