シーラカンスは「生きている化石」と呼ばれ、非常に珍しい魚として有名です。
この魚の泳いでいる姿を実際に見てみたいと思う方は多いのではないでしょうか?
しかし、現在、日本はおろか、世界中のどの水族館も生きたシーラカンスを展示していません。
それではどうしてシーラカンスを水族館で飼育することができないのでしょうか?
シーラカンスは商業ベースでの展示が禁止されている

水族館で飼育できないひとつめの理由として、シーラカンスの商業ベースでの展示が禁止されていることが挙げられます。
これはシーラカンスはワシントン条約第I類「絶滅寸前種」に指定され、1991年より輸出入や商業利用が一切禁じられているからで、生きた個体を見る事は不可能なのです。
シーラカンスとはシーラカンス目に属する魚類で、化石種も現生種も含めた総称のことを言います。
シーラカンス目は多くの化石種によって存在が知られており、古生代デボン紀に出現して広く世界の水域に栄えました。
古生代と中生代のシーラカンス目はかつては世界中の淡水域や海に広く分布していたと考えられています。
しかし、約6550万年前の大量絶滅危を境に、ほとんどすべての種が絶滅しました。
そのため、現生しているのは南アフリカのコモロ諸島周辺に生息する「ラティメリア・カルムナエ(Latimeria chalumnae) 」とインドネシアのスラウェシ島沖に生息する「ラティメリア・メナドエンシス (Latimeria menadoensis)」のラティメリア属の2種のみとなっています。
シーラカンスの生息数は調査が難しいため明らかではありませんが、コモロ諸島での研究では1000匹ほどしか存在しないとされています。
このようにシーラカンスは絶滅の恐れがあるので商業目的の取引は禁止されているのです。
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シーラカンスを生きたまま捕獲するのが難しい

次に、シーラカンスを飼育できないふたつめの理由として、生きたまま捕獲するのが難しいことが挙げられます。
シーラカンスは海底150から700mに棲む深海魚で海底洞窟を住処としています。彼らは基本的に深海に棲む魚やイカをエサとしています。
これまでコモロやインドネシアではシーラカンスがごく稀に漁船のトロール網などにかかり、捕獲されてきた例があったものの、深海で生息しているシーラカンスを生きたまま捕獲することはほとんど不可能と言えます。
シーラカンスは水温・水圧の変化に弱い
最後にシーラカンスを飼育できない理由として、水温・水圧の変化に非常に弱いことが挙げられます。
深海は深くなるほど水圧が高くなります。例えば深海1000mでは指先に約100kgの力がかかります。
このように深海で暮らす生き物たちは、すさまじい圧力の中で生活しているのです。
そのため、深海生物は高い水圧に耐えられる得意な生態に適応進化したと考えられます。
彼らの体は脂肪や血液などで隙間なく満たされているため、深海の水圧に耐えることができているのです。
また浅い場所に棲む魚浮き袋に気体が入っているので、水圧で潰れてしまいますが、深海魚は浮袋や内臓に気体の代わりに油を入れているので、水圧に抵抗できています。
深海魚の中でも圧力の変化にかなり広く対応できる種類は通常の水圧でも飼育は可能です。
水族館で飼われているそういった一部の深海魚は、徐々に減圧して通常の水圧に慣らしています。
しかし、シーラカンスは水圧の変化に非常に弱い生物です。
シーラカンスの浮袋にも空気ではなく油脂が詰まっていて、水より軽い油を浮き袋に蓄えることで浮力を得ているのです。
このように深海の特殊な環境に適応したシーラカンスは水族館の水槽では生きていけません。
また、深海では水温が低い為、水温の変化にも気をつけなくてはいけません。
シーラカンスは繁殖が難しい
近年の研究でラティメリア・カルムナエの鱗を分析したところ、従来考えられていたよりも5倍も長く、恐らく100年ほどいるということが分かりました。
しかし、現在の技術では野性下のように長生きさせることはできないようです。

また、もし仮に飼育できる施設ができたとしてもシーラカンスを繁殖させるのは難しいでしょう。
彼らは卵胎生でメスは5年間も子を身ごもります。
そして、オスとメスで若干異なるものの、生まれた子が成熟するにはおよそ55年もかかるといいます。
このような繁殖率の低さからシーラカンスを増やして行くのも難しいようです。
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