世界最大の淡水魚オオチョウザメの大きさや生態

生物

オオチョウザメは非常に巨大になる魚で、世界最大の淡水魚と言われています。さらに、肉食性で積極的に大型魚食べる捕食者です。この記事ではオオチョウザメの大きさや生態について解説します。

オオチョウザメの基本情報

Максим ЯковлєвCC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

オオチョウザメはチョウザメ目チョウザメ科ダウリアチョウザメ属の魚です。

英語ではベルーガ(beluga)と呼ばれていますが、哺乳類のシロイルカとは関係なく、ロシア語で白色を意味する белый(ベールイ)に由来します。これはおそらくほかのチョウザメと比較してオオチョウザメの腹側が淡い色になるためです。

オオチョウザメは細長い体に、上側のほうが長い尾ビレ、長い吻などほかのチョウザメが持つ典型的な特徴をもっています。チョウザメ科の魚はいわゆる古代魚とされる分類群のひとつです。

チョウザメという名前はその形状がサメに似ている事にありますが、実際は硬骨魚類に属する為、軟骨魚類に属するサメとは系統が大きく異なります。

チョウザメは主にカスピ海や黒海で見られるほか、アドリア海でも見られることがあります。

オオチョウザメの大きさ

Petar MiloševićCC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

オオチョウザメは非常に大きくなる魚です。認められている最大の記録は1827年にボルガ河口で捕獲された個体で全長7.2m、体重が1571kgありました。さらにより多きなものは長さ12mの個体や重さ3000kgの個体があったと言われていますが、これらは未確認のものです。しかし、このサイズに達することは不可能ではないといわれています。

メスのオオチョウザメは通常オスよりも20%大きくなります。

ほかの多くのチョウザメと同様にオオチョウザメも産卵のために生まれた川を遡上します。従ってチョウザメは海水魚とされることもありますが、ほとんどの研究者は川魚であると考えています。このため、オオチョウザメはピラルクーやメコンオオナマズを超えて世界最大の淡水魚とされています。

ただし、最大の淡水魚は定義が曖昧で、オオチョウザメは海水でも生きる能力を持つことからピラルクーやメコンオオナマズが最大の淡水魚であると考える研究者もいます。

また、オオチョウザメは現生する硬骨魚類の中で3番目に巨大な種です。彼らの重さは世界最大の硬骨魚マンボウに次ぎ、リュウグウノツカイに次いで2番目に長い硬骨魚になります。

オオチョウザメの寿命は56歳を過ぎて生きている標本はありませんが、この種は非常に長命で、野生で100年以上生き残ることができると報告されています。

大きなサイズにまで成長したオオチョウザメは非常に長く生きたもので、彼らは生涯を通じて成長し続けます。ただ、オオチョウザメはベルーガキャビアとして知られる卵をとるために大量に漁獲され、乱獲と密漁によって野生の個体数が大幅に減少しているため、このような大きなサイズのオオチョウザメはここ数十年でますます稀になっています。

そのため、最近捕獲されるものの一般的な長さは142~328cm、体重は19~264kg程度です。

オオチョウザメは淡水と海の間を自由に移動できる降海性の魚で、塩分濃度の異なる水域に生息することができます。

オオチョウザメの繁殖

オスは12から16歳で、メスは16から22歳で性成熟し、4から7年ごとに産卵します。

オオチョウザメはドナウ川に最も古くから生息している魚で、産卵と幼魚期の発達はドナウ渓谷の形成と共に進化し、その結果、非常に特異な生存戦略を採ることとなりました。彼らは非常に遠い産卵場所へと長い旅をする為、秋にドナウ川に入り、冬の間は上流域にとどまり、越冬します。そして、春に産卵するという移動戦略を獲得しました。

彼らは1700km上流まで遡上し、きれいな河底で産卵します。

孵化後は10~14日間は卵黄を吸収して過ごします。その後、幼魚は河川や沿岸の浅瀬で無脊椎動物を食べ、そこで急速に成長します。こうして体長が10cmに達すると、魚ベースの食事に切り替わります。

オオチョウザメのエサ

SeedlensCC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

この時、海に戻っている間、若い個体は1日に最大60kmを移動します。一般的なチョウザメは水底でエビやカニなどの甲殻類、貝類、水生、昆虫などを食べますが、オオチョウザメの成魚は餌の73%が魚で、多種多様な大型魚を食べます。これに加え、軟体動物や甲殻類、水鳥、若いアザラシなども食べる場合があります。

オオチョウザメは大きな頭と長く伸びる口を持っており、獲物を見つけるとこの口で素早く吸い込んで食べてしまいます。彼らはホホジロザメやオンデンザメと匹敵する最大級の捕食性の魚です。

かつてオオチョウザメはカスピ海、黒海、アドリア海、及びこれらにつながるさまざまな川で発見されていました。しかし、残念なことに、この範囲は現在ではカスピ海、黒海、そしてドナウ川などのいくつかの川のみに縮小されています。

最高級のベルーガキャビア

キャビアはフォアグラ、トリュフと並んで三大珍味のひとつとされる高級食材として有名です。その中でもチョウザメからとれるベルーガキャビアは魚卵が大きく、貴重なことから最高級品として扱われています。また身は特に有名ではありませんが、メカジキに似たボリュームのある白身だと言われています。

このことから、肉やキャビアの違法漁獲が行われており、オオチョウザメは現在、大きなな脅威に直面しています。

カスピ海でのチョウザメ漁業の管理は1950年代に始まり、当初の規制は立派な意図を持っていましたが、キャビアに対する需要が絶え間なく存在したため、効果は減少していました。

さらに、石油産業、違法伐採、農業など様々な発生源からの汚染は、オオチョウザメにとって重大な脅威となります。

この種は寿命が長い為、農薬汚染に対して脆弱であり、繁殖の成功率の低下やその他の健康上の問題を引き起こしています。また、ドナウ川ではダムの建設により産卵場所が大幅に減少しました。これらのダムは重要な河川の生息地へのアクセスを遮断し、繁殖能力の大幅な低下につながっています。

これらのことから大きくて成熟した個体が排除され、自然繁殖がほぼ不可能になっています。そのため、国際自然保護連合は。2010年以降、オオチョウザメの自然保護状態を絶滅寸前と分類しています。

これにより、ベルーガキャビアは世界中でさらに高価になりました。

現在、オオチョウザメの貿易は制限されており、地中海の個体は特に強力に保護され、全ての捕殺が禁止されています。

アメリカ合衆国ではフロリダ州のスタージョン・アクアファームのみがベルーガキャビアの販売許可免除を取得した世界で唯一の施設となっています。

この記事はYouTubeの動画で見ることができます。

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